ワクチン接種について、自民党から1回接種論が出ているとのニュースが報道されました。
みなさんは、このニュースをみて、どのような感想をお持ちでしょうか。
もしかしたら、早く接種できるならそれもありかもしれない!と感じた人もいるのではないでしょうか。
私は、薬剤師としてこの考え方に断固反対します。その理由を解説しますので、みなさんも、どうするべきか考えてください!
コミナティ筋注の使用方法について
ファイザー社のワクチン『コミナティ筋注』の使用方法は、以下の通りです。
『日局生理食塩液1.8mLにて希釈し、1回0.3mLを合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する。』
この方法以外では、承認を得られていません。このことを念頭においてください。
コミナティ筋注の審査結果報告書について
日本で承認される際に、どのようなデータをもとに、どのような審査がされたのかという文書が公開されてます。一般の方には専門的で難しい文書ですが、、よく読むと色々なことが分かります。
この文書から推察されるのは、承認のために、提出されたデータの元となった試験は、すべて2回接種での有効性を検討したものであり、1回接種での有効性を検討した試験は見当たりませんでした。
また、こういった記述がありました。
1 回接種のみの有効性については検討していないが、第Ⅰ相パートにおいて中和抗体の誘導には 2回接種が必要であったことも踏まえると、1 回接種のみでは効果持続性の観点から十分でないと考える。
1回接種で十分だというのであれば、ちゃんとした試験を実施して、その有効性と安全性を検討する必要があります。
変異株ができやすくなる可能性
また、専門家からはこんな懸念が出ています。
このニュースではこんなことが書かれています。
1回だけのワクチン接種で体内の抗体がウイルスを殺せるよりも少ない量になってしまった場合、ウイルスがそれに勝つために変異していくというのです。
1回だけのワクチン接種で、人間が体の中で中途半端な抗体を作ることで、変異株が発生してしまう懸念があるというのです。
全ての生物は、今ある環境の中で生存していくために、性質を変えることを絶えず繰り返しています。その変化は、単純な生物ほど早く進んでいくのです。ウイルスや細菌はそのいい例です。
1回だけのワクチン接種が原因で、変異株が蔓延したら、それは『人災』です!
しかも、政治判断で『人災』が起きてもいいのでしょうか?
すべてを否定しているわけではない
ただし、上記は可能性の問題です。もしかしたら、色々と工夫して、1回で有効性と安全性を検討する試験を実施すればよい結果が得られるかもしれません。
そうなれば、変異株の心配もいらないです。
また、他のワクチンでは1回接種での、有効性を検討しているものもありますので、そういった試験結果をもって承認されるワクチンは、もちろんこの話とは別の話となります。
このニュースに対する私見
私は、薬剤師であり、政治の専門家ではないのですが、十分なデータがない中で、『政治的判断』という、非科学的な根拠をもとに、人の健康に寄与するためのワクチンの使用方法を決めることは断固反対します。
私には、どうしてもこの『政治的判断』という言葉が、ワクチンの供給不足になったときに、『だから、私たちは、1回接種にするべきだと言っていた!』という逃げ道に、使われるのだろうなと、勘ぐってしまいます。
この世界的な危機でさえ、道具に使っている政治家の方々に、お願いがあります。
1回接種の議論より、共有不足をどのように解決するか、その議論に時間を使ってください。
今日は、少し乱暴な記事になってしまいましたが、少しでも早く、情報を発信したかったため、ご容赦頂ければ幸いです。