企業に勤めるちょっと太めの薬剤師のつぶやき

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ブロッコリーがうつを抑制!? 買い占める前にちゃんと記事を読もう!

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みなさんブロッコリーは好きですか?
私は若干苦手です(笑)

 

本日は、Yahoo!ニュースで、こんな題名の記事を見つけました!
『ブロッコリーがうつを抑制との研究結果 カギは含有物質のスルフォラファン』

 

この題名だけ見ると、コロナ禍で落ち込んだ気分もよくなるのでは!?
そんな風に思って、ブロッコリーを買い占める人がでるのではと、
私は心配してしまいます。

 

このニュースをもとに、医療系ニュースの見方のポイントを、解説します。

 

 

1.まずはじっくりニュースを読んでみよう!

まずは、こちらのリンクからニュース記事を読んでみてください!

 

news.yahoo.co.jp

 

いかがですか? 今すぐスーパーに行って、ブロッコリーを買い占めますか?
ちょっと待ってください! このブログを最後まで読んでから決めても、
遅くはないと思います!

 

2.人間に対しての研究か?

まず、医療系のニュースのポイントとして、記事に書かれている内容が
動物実験の話なのか、人間に対しての研究の話なのかを調べましょう。

 

このニュースでは、ちゃんと記載されていました。

研究の中では、スルフォラファン入りのエサを与えたマウスに、炎症を引き起こす物質を与えるとどうなるかも調べた。するとそのマウスは、うつ様行動を取らなかった。

 

また、思春期のマウスにスルフォラファンを与えると、成人期になって炎症を引き起こす物質を与えても、うつ様行動を取らなかった。

 

この記事は、マウスでの動物実験の結果、うつ症状を抑制したと言っています。
では、すべての動物実験の結果が、人間にそのまま当てはまるのでしょうか?
残念ながら答えは『No』です。

 

人間とその他の動物は、体の構造や、体の中で働くタンパク質など、
同じものもあれば、違うものもあります。
そのため、動物実験の結果は、人間でも同じ結果が得られるかもしれない!
と推察するのには重要な手掛かりになりますが、やはり、人間での研究結果がないと、
『人間がブロッコリーを食べるとうつを抑制する』とは、残念ながら言い切れません。

だからこのニュースには、よく見ると、人間のうつに対してブロッコリーが効く!
とは一言も書いていないんですね。(誤解させる表現はありますが。)

 

3.実験に使ったのはブロッコリーなのか?

もう一点気を付けてください。
この記事では『スルフォラファン入りのエサを与えた』と記載されています。

 

マウスはブロッコリーを食べたわけではないのですね。
ブロッコリーの成分の一つである、『スルフォラファン』を食べたようです。

 

なんだ、同じことじゃないか?!
と思われるかもしれませんが、『スルフォラファン』をどのくらい与えたか、
それは、ブロッコリーに換算すると、どのくらいの量なのか分かりません・・・。

 

今から焦ってブロッコリーを買い占めて、一回どのくらいブロッコリーを食べますか?
この記事からは全くヒントがありません・・・。

 

4.まとめ

今回のニュースから、以下のことが分かったと思います。

  • 動物実験の場合、そのまま人間にあてはめられるとは限らない。
  • 摂取したのが、食物そのものか、成分を抽出したものか、よく確認する。

最後に、このブログでは、この研究を決して批判していません。
今後、この研究をもとにして、人間が通常食べる量のブロッコリーで、
うつ症状が抑制されることが、証明されるかもしれません。

 

そうなれば、薬などに頼らず、健康的な生活が送れることになります。
そんな未来の研究結果を期待して、今回は終了します!