ヘルスケアのトピックス解説~薬剤師の目線から~

医療・ヘルスケア関連の難しいニュースやトピックスを薬剤師の目線からなるべく一般の方にわかりやすく解説していきたいと思います!

かぜ薬は風邪を治しません!かぜ薬をよく知って、正しく使いましょう!

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みなさんは、風邪を引いたらどうしますか?
今は、新型コロナウイルスが蔓延しているので、かなり慎重になるかと思いまが、
仕事も休めないし、かぜ薬を飲んで、多少無理して、仕事を頑張っている人も、
多いと思います。

 

かぜ薬を飲んで少し経てば、症状もよくなるし、飲まないより
風邪が早く治ると思っている人も、多いのではないでしょうか?

本日Yahoo!ニュースでこんな記事を見つけました。

 

news.yahoo.co.jp

 

この記事をかなり要約すると、
『かぜ薬は、ウイルスをやっつけないけど、勘違いしている人が65%もいる!』
という記事の内容です。

 

えっ!、有名な芸能人が風邪を治すって宣伝しているじゃないか!!
と怒る人や、疑問に思う人も多いと思うので、本日はかぜ薬について
解説をしたいと思います。

 

 

1.有名芸能人のCMを振り返ろう!

まずは、かぜ薬のCMを観てみましょう。
松嶋菜々子さんが出演している、パブロンSゴールドWのCMです。


松嶋菜々子さん出演 パブロンSゴールドW CM「家族のかぜ対策」篇 30秒

 

このCMでは、一言も『風邪を治す!』『ウイルスを殺す』とは言っていないことに
お気づきでしょうか?CM内で言っているのは、

 ・Wケアでのどの粘膜をきれいにして修復します。

これだけです。


もう一つ、別の企業のCMを観てみましょう。
次はくりーむしちゅーの上田晋也さんが出演している、
『エスタックイブファインEX』のCMです。


上田晋也さん出演 エスタックイブファインEX CM「働く人1万人」篇【エスエス製薬】

こちらのCMでも、『風邪を治す!』『ウイルスを殺す』とは言っていません。
CMで言っているのは。

 ・風邪症状に優れた効果を発揮!

いったいどんな効果なのかは、明言していませんね。

 

ちゃんと見ないと、風邪を治してくれると、間違えてしまいそうな、容ですが、
実は、どちらのCMも風邪を治すとは、言っていないんです。

2.かぜ薬の役割を知ろう!

じゃあ、何で『風邪を治す!』『ウイルスを殺す』と言ってくれないのでしょうか?
そう言ってくれたほうが、売れ行きもよくなりそうですよね。

 

実は、かぜ薬は風邪を治しません!

まず、風邪を治すというのはどういうことでしょうか?
多くの風邪と言われている病気は、人がウイルスに感染することで、発症します。
そのため、ここでは、『風邪を治す=ウイルスが体からいなくなる』とします。

 

かぜ薬を飲むと、ウイルスが体からいなくなるから、
風邪の症状が良くなる・・・。訳ではありません。

 

先ほどCMを観ていただいた、
『パブロンSゴールドW』の企業のHPを見てみましょう。
 

www.catalog-taisho.com

 

こちらの文書の効能に、こんな記載があります。

かぜの諸症状(のどの痛み、せき、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、たん、頭痛、発熱、悪寒、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和

この薬は、風邪を治すのではなく、症状を緩和する効果を持った薬なのです!

 

では、もう一つの、エスタックイブファインEXはどうでしょうか?

 

www.ssp.co.jp

こちらのホームページの、効能・効果の記載はこちらです。

かぜの諸症状(のどの痛み、発熱、せき、鼻水、鼻づまり、たん、関節の痛み、筋肉の痛み、くしゃみ、悪寒、頭痛)の緩和

これも先ほどと同様に、症状を緩和する効果を持った薬なのです!

 

では、症状を緩和するのと、風邪を治すのは何が違うのでしょうか?

 

3.かぜ薬の成分と効果を知ろう!

かぜ薬の役割を知るために、かぜ薬の成分を見てみましょう。
まずは、パブロンSゴールドWの成分に一つずつ、解説を加えました。

 

  • アンブロキソール塩酸塩     ⇒ たんを出しやすくする
  • L-カルボシステイン      ⇒ たんを出しやすくする
  • ジヒドロコデインリン酸塩    ⇒ 咳をとめる
  • アセトアミノフェン       ⇒ 熱や痛みを鎮める
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩 ⇒ くしゃみ、鼻水、鼻づまりを抑える
  • リボフラビン(ビタミンB2)   ⇒ エネルギー代謝を助ける

 

さて、どの成分もウイルスを殺すわけではなく、風邪をひいて困る症状を
よくする効果を持っているのです。

 

もう一つ参考にした、エスタックイブファインEXは、HPに分かりやすく
記載されてたので、そのまま引用しました。

 

6錠(1日量)中

成分 分量 はたらき
イブプロフェン 450mg 熱を下げ、のど等の炎症や痛みをしずめます。
ヨウ化イソプロパミド 6mg 鼻水をおさえます。
クロルフェニラミンマレイン酸塩 7.5mg くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状をおさえます。
アンブロキソール塩酸塩 45mg せきをしずめ、たんを切ります。
ジヒドロコデインリン酸塩 24mg せきをしずめ、たんを切ります。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 60mg せきをしずめ、たんを切ります。
無水カフェイン 75mg 頭の重い感じをやわらげます。
酸化マグネシウム 300mg イブプロフェンの吸収を速め、胃粘膜も保護します

 

 

やはり、どの成分もウイルスを殺すわけではなく、風邪をひいて困る症状を
よくする効果を持っているのです。

 

かぜ薬の役割は、風邪の諸症状の緩和役割であって、風邪を治すわけではないのです。

 

4.風邪にかかったらどうするか? in ドイツ

かぜ薬では風邪は治せないことが、わかっていただけたかと思いますが、
じゃあ、どうすればよいのか?と思いますよね。
有名な話で、ドイツで風邪をひいたとき、医者にかかると、かぜ薬の処方箋ではなく
休養が必要な旨の、診断書を渡されるらしいです。

 

davinci-international.com

 

なぜでしょうか?  風邪を治す薬はないので、軽微なら薬は出しません。
唯一風邪を早く治す方法は『十分な休養』だからです。 

 

5.それでも、かぜ薬は必要!かぜ薬を飲むべき時は?

この記事で、以下のことをご理解頂けたでしょうか。

  • かぜ薬は風邪を治さない、風邪の症状をよくする。
  • 風邪を早く治すのは、十分な休養。

これらを理解したうえで、風邪をひいたときどうするかを、判断してください。
ここまでの話を聞くと、かぜ薬は企業が誤った情報を流して、効きもしない
薬を売ろうとしている!と感じてしまう人もいるのではないでしょうか?

 

この記事で伝えたかった本当の内容は
正しく理解して、必要な時には、かぜ薬とうまく付き合ってほしいということです。


どうしても、外せない用事があるときや、症状が我慢できないくらい辛く、
体力が奪われてしまう状況なら、かぜ薬を飲んで、症状をよくすることは大切です。

ただし、かぜ薬を飲んで症状が良くなっても、体の中にはウイルスがいます
マスクをする、手指の消毒をする、大声で話さないなど、
他の人にうつさないための対策を、十分にとってください!

 

6.最後に

今回の記事の元となったニュースを見たとき、医療関係の情報発信は
まだまだ足りないと感じました。

 

今回のかぜ薬の件は、医療関係者なら今や常識になっていて、
私も、かぜ薬は必要な時しか飲みません。

 

一医療関係者として、これからも正しい情報を発信していかなければいけないと
改めて、考えされられたニュースでした。
これからも分かりやすい、正しい情報を発信していけるよう頑張ります。