企業に勤めるちょっと太めの薬剤師のつぶやき

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新型コロナウイルスのワクチンの明るいニュースと課題

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ファイザー社のワクチンの治験で、良好な結果が得られたというニュースは、
皆さんご存知かと思います!
このニュースにより、株価に影響を与えるなど、期待の高さが伺えます。
私自身も非常に興味があり、色々と調べてみました。
その中で見えてきた課題について、まとめてみました。

1.マイナス70度以下での管理が必要!輸送・保管は大丈夫?

このワクチンは、RNAワクチンというジャンルに分類されます。
RNAってなんだ?という方は、多いのではないでしょうか。
ここでは詳細な説明は省きますが、簡単な概念としては以下の通りです。

 

DNA ⇒ RNA ⇒ タンパク質 ⇒ 人体

 

DNAは人体の設計図ですが、DNAが人体を作る途中の物質だと理解してください。

このRNAはとても不安定で、分解しやすいことが知られています。
そして低い温度で管理することで、分解しにくくなることが、知られています。

 

今回のファイザー社のワクチンは、マイナス70度で管理する必要があるとのことです。
マイナス70度での管理に関しては、こんな記事がありました。

 

news.yahoo.co.jp

 

この記事によると、マイナス70度以下で大量のワクチンを、輸送・保管する体制を
構築するのが大変だということです。


日本でも大規模な病院では、マイナス70度以下で保管できる冷凍庫を保有している
ところも多いですが、町の診療所などでは、そのような設備を保有していないことが
ほとんどです。

 

もちろん、マイナス70度以下で大量に輸送する方法も、考えなければなりません。
これらの課題を解決しないと、インフルエンザワクチンのように、
どこでも接種できるようにはならず、接種できる場所は、
大学病院などの、一部の病院に限られてしまいそうです。


それでは都市部では、接種が進んでも、それ以外の地域では接種できないなどの
問題が発生してしまいます。この問題は、政治が解決するしかなさそうです。

 

2.一回打ったら一生効き目があるの?

今回の試験の結果の詳細を、ファイザー社のHPから確認してみました。
全部英語ですが、参考にどうぞ。

www.pfizer.com

この内容からわかったことは、ワクチンを2回摂取した後の7日後では
90%を超える有効率を示したということです。

ということは、これ以降どのくらい有効な期間が続くかは、
今の時点では、分からないということです。

 

インフルエンザワクチンのように毎年接種が必要なのか、
もっと頻回に接種が必要なのか、1回接種すれば長い間効果が続くのか、
今の段階では不明です。さらなるデータの収集と解析が待たれます。

 

3.高齢者での効き目はどうなのか?

一般的に、ワクチンは高齢者になればなるほど、効きが悪くなることが多い。
先ほどのファイザー社のHPを確認しましたが、年齢による効き目の差については
特に記載されていませんでした。

 

新型コロナウイルスは、高齢者ほど重症化しやすいため、高齢者での効き目が
どうなのか、データが待たれるところです。

 

4.最後に

せっかくの明るい話題に対して、少しネガティブなことばかり記載してしまいました。
でも本当は私自身、このワクチンに期待しています!
だからこそ、見えてきた課題に対して、一つずつ対応が進めばいいなと思います。

 

早く、日常が戻り、大声でみんなで語り合える日々が来ることを期待しましょう!