企業に勤めるちょっと太めの薬剤師のつぶやき

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【ニュースの見方】治験参加者に神経疾患か 英ワクチン、来週にも再開

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昨日、新型コロナウイルスのワクチンの試験が、中断したことをブログで書きました。

pharmacist-sato.com

 

なんと、本日には来週にも再開とのニュースが流れています!

news.yahoo.co.jp

 

このニュースを知るためのポイントは以下の通りです。

  1.  「横断性脊髄炎」という神経疾患が見られた
  2.  この疾患はワクチンが原因ではなさそうと判断された
  3.  ちなみに、ほかのウイルスの副作用ってどうなんだろう

 

【1.「横断性脊髄炎」という神経疾患が見られた】

疾患の詳細は以下をご覧ください。

www.msdmanuals.com

 

今回は疾患の詳細までご紹介しませんが、抜粋するとこんな感じです。

  • 突然背中に痛みが生じ、患部を帯状に締めつけられるような感じがします。
    その後、ときに麻痺などの重度の症状が現れることがあります。
  • 回復する人、いくつかの障害が残る人、ほとんど回復しない人が、
    それぞれ約3分の1ずついます。

疾患としてはかなり怖い疾患ですね。今回の試験に参加された方は

でもニュースでは、すでに改善傾向に向かっており退院の目途も立っているようです。

重大なことにならなくて、本当によかったですね。

 

【2.この疾患はワクチンが原因ではなさそうと判断された】

もしかしたら製薬会社が、都合のいい情報操作をしたのでは!?

と、疑いの目を向ける人もいるかもしれませんね。

 

今回は海外の事例なので詳しくないですが、例えば同様のことが日本で起きれば

まず試験を担当していた医師がワクチンと関係がありそうかどうか判断します。

そして医師から得た情報をもとに製薬企業もワクチンを関係がありそうか判断します。

 

もちろんお互いの意見が分かれることもありますが、特に今まで知られていないような

重篤な副作用であれば製薬企業だけが関係がなさそうだと仮に判断しても、

医師が関係ありそうだと判断すれば、国に報告をしなければならないんです。

 

なので、製薬会社が意図的に情報操作をすることは考えにくいです。

(過去に色々な不祥事が医薬品業界であったので対応は非常にシビアです。)

 

【3.ちなみに、ほかのウイルスの副作用ってどうなんだろう】

今回のコロナウイルスのワクチンだけに副作用があるんじゃないか!?

と心配になる人も多いのではないでしょうか。

 

では、多くの人が毎年受けている、インフルエンザワクチンの副作用を

調べてみましょう。(見にくいので下まで飛ばしてもOKです!)

 

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)

      蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等があらわれることがある。

    1. 11.1.2 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(頻度不明)

      通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。

    1. 11.1.3 脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎(頻度不明)

      異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。

    1. 11.1.4 ギラン・バレー症候群(頻度不明)

      四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれることがある。

    1. 11.1.5 けいれん(熱性けいれんを含む)(頻度不明)
    1. 11.1.6 肝機能障害、黄疸(頻度不明)

      AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

    1. 11.1.7 喘息発作(頻度不明)
    1. 11.1.8 血小板減少性紫斑病、血小板減少(頻度不明)

      紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等が認められた場合には、血液検査等を実施すること。

    1. 11.1.9 血管炎(IgA血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明)
    1. 11.1.10 間質性肺炎(頻度不明)

      発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施すること。

    1. 11.1.11 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)
  1. 11.1.12 ネフローゼ症候群(頻度不明)

 

すいません・・・。

よく分けがわからないですよね。これらはとあるワクチンの

添付文書に記載されている重大な副反応です。

重大ではない副反応はもっとあります。

 

前の記事でもお話ししましたが、副作用はどんな薬・ワクチンでも存在します。

だから、今回の新型コロナウイルスのワクチンの中断が特別なことではないんです。

 

最後に・・・。

今回は注目のワクチンであるがゆえに、ネットニュースを賑わせましたが

みなさんが普段使っている薬の中には、試験中に何らかの問題があり

一時的に中断した薬やワクチンもたくさんあるんです。

 

むしろこのような情報を、知ることができるようになったことは、

情報社会の進歩だと思います。

 

しかしながら、情報社会の進歩に伴い、むしろ私たちがたくさんの知識を得なければ

情報を正しく理解することができません。

このブログでは、情報を正しく理解するお手伝いができればと考えております。